
WordPressの更新で壊さない|プラグインを安全に上げる手順
「更新できます」の赤いバッジが、管理画面にいくつも溜まっている。 セキュリティのためにも上げたほうがいいのは分かっている。でも、以前ボタンを押したら画面が真っ白になって、復旧に半日かかった。あれ以来、更新がこわい。
こんな経験、ありませんか。あるいは「溜まってるのは気になるけど、忙しくて後回し」という人も多いと思います。
これは、あなたが慎重すぎるからでも、後回しにする性格だからでもありません。「もし壊れてもすぐ戻せる」準備と、「本番の前に試せる場所」がなかっただけです。この2つさえ置いておけば、更新はぐっとこわくなくなります。全部を一度に整えなくてOK。今日は、次の1回の更新を安全にするところから始めましょう。
結論:①更新前にバックアップ(DB+ファイル)を取り、②できれば検証環境で先に試し、③本番は一度に全部でなく1つずつ更新して都度確認、④おかしければすぐ戻す。この順で、まず「戻せる状態」を作ってからボタンを押します。
環境(レンタルサーバー/VPS/マネージドWordPress、WP-CLIの可否、検証環境の有無)で最適な手順は変わります。本文を自分の環境に読み替えつつ、細部は検証環境や公式情報で確認してください。
なぜ「更新ボタン」で壊れるのか
- プラグイン同士、またはテーマとの相性で不具合が出る(単体では動くのに組み合わせで崩れる)
- プラグインが前提とするPHPやWordPress本体のバージョンと、実環境がずれている
- カスタマイズした箇所が、更新で上書き・非対応になる
- 大型アップデートで設定項目や仕様が変わり、既存の設定が効かなくなる
どれも「気をつけて押す」では防ぎにくい話です。だから、押す前の準備と、押したあとの確認を仕組みにします。
まず「戻せる状態」を作る:更新前バックアップ

更新でいちばん怖いのは「壊れること」ではなく「戻せないこと」です。まず戻せる状態を作れば、あとは安心して試せます。
WordPressは大きく分けて「データベース(記事や設定)」と「ファイル(本体・テーマ・プラグイン)」でできています。両方を取っておくのが基本です。
- 一番かんたん:契約サーバー/マネージドサービスの自動バックアップが「今この時点」で取れているかを確認(取れていなければ手動で1回取る)
- バックアップ系プラグインを使う:管理画面から「フルバックアップ(DB+ファイル)」を1回取り、ダウンロードして手元にも保存
- コマンドが使える環境なら(例):
- DBのエクスポート(WP-CLI の例。使い方は公式ドキュメントで確認)
wp db export backup-$(date +%Y%m%d).sql
- ファイルのアーカイブ(例)
tar czf wp-files-$(date +%Y%m%d).tar.gz wp-content
大事なのは「取った」で終わらせず、置き場所(サーバー内だけでなく手元にも)と、いざという時の戻し方をひとことメモしておくことです。戻し方が分からないバックアップは、無いのと同じくらい不安が残ります。
できれば「本番の前に試す場所」で確認する
一番安全なのは、本番と同じ構成のコピー(ステージング/検証環境)で先に更新して、問題ないかを見ることです。
- マネージドWordPressやレンタルサーバーに「ステージング」機能があれば、それを使うのが手軽です(本番のコピーを1クリックで作れるものがあります)
- 機能がなければ、サブドメインや別ディレクトリに複製を1つ作っておくだけでも、試し場所になります
- 検証環境で「更新→主要ページとフォーム送信を一通り確認→問題なし」を見てから、同じ手順を本番に
検証環境を作る時間がどうしても取れないときは、次の「1つずつ・確認しながら」を丁寧にやるだけでも、事故はかなり減らせます。無理に全部そろえなくて大丈夫です。
本番は「一度に全部」ではなく「1つずつ」

「まとめて更新」は一見ラクですが、もし壊れたとき、どのプラグインが原因か分からなくなります。少し手間でも、1つずつ進めるのが結局いちばん早いです。
進め方の例:
- 影響が小さそうなもの/実績のある定番プラグインから1つ更新する
- サイトの表示を確認する(トップ、主要ページ、管理画面が開くか)
- その機能が使われている画面を確認する(例:お問い合わせフォーム、カート、会員ログインなど)
- 問題なければ次の1つへ。おかしければ、そこで止めて戻す
決済・フォーム・会員機能など「止まると困るもの」に関わるプラグインは、後回しにして、時間に余裕のあるとき・アクセスの少ない時間帯に単独で更新すると安心です。
おかしくなったら:あわてず戻す
- 画面が真っ白/エラーになったら、まず落ち着いて。バックアップがあれば戻せます
- 直前に更新した1つが原因のことが多いので、そのプラグインを停止してみる
- 管理画面に入れる場合:該当プラグインを「停止」
- 管理画面にも入れない場合:FTP/ファイルマネージャで
wp-content/plugins/の該当フォルダ名を変更(例:末尾に-offを付ける)と、そのプラグインだけ無効化されます - それでも直らなければ、更新前のバックアップからDB・ファイルを戻す
- 落ち着いたら、何が起きたか(どのプラグインを・いつ・どう戻したか)を1〜2行メモに残す。次回の判断材料になります
「戻す手段がある」と分かっているだけで、更新のときの緊張はずいぶん軽くなります。
具体例:よくある「壊れ方」と防ぎ方
- 更新したら真っ白(PHPエラー):本体やPHPのバージョンが、プラグインの前提とずれていた。→ 検証環境で先に確認。エラーログ(
wp-content/debug.logやサーバーのエラーログ)を見ると原因の見当がつく - フォームからメールが届かなくなった:フォーム系プラグインの更新で設定仕様が変わった。→ 更新後に必ずテスト送信。決済・フォームは単独で慎重に
- 表示は崩れないが管理画面だけ重い・落ちる:プラグイン同士の相性。→ 直前に更新した1つを停止して切り分け
- 自動更新でいつの間にか変わっていた:気づかないうちに更新が走っていた。→ 重要プラグインは自動更新を切り、手動で計画的に。定番の軽微なものは自動でもOK
更新を「気合い」に頼らない仕組みにする
- 更新のタイミングを決める:例)月1回、アクセスの少ない時間帯に、まとめてではなく1つずつ
- 更新前チェックのミニ手順を1枚に:バックアップ→(あれば検証)→1つずつ→確認、を貼っておく
- 自動更新の方針を決める:セキュリティ更新は早めに、大型更新は検証してから。プラグインごとに自動/手動を決める
- 使っていないプラグイン・テーマは削除する:更新対象が減るほど、事故の芽も減ります
- 記録を残す:いつ・何を・どのバージョンに更新したかを1行ずつ。変更管理台帳があればそこに
最低ライン・優先順位(時間がない現場向け)
- 最低ライン(P0)
1) 更新前に、DB+ファイルのバックアップを1回取り、戻し方を1行メモ 2) 本番は1つずつ更新し、その都度トップと主要ページを確認 3) 決済・フォーム・会員など「止まると困る」プラグインは単独・低アクセス時間に
- 優先順位:セキュリティ更新(脆弱性対応)は優先度高め。機能追加だけの大型更新は、検証してから落ち着いて
- 代替:検証環境が作れないときは「バックアップ+1つずつ確認」で代替。まずはこれだけでも十分に事故は減ります
- 省力化:定番で軽微な更新は自動更新に任せ、重要プラグインだけ手動で丁寧に
明日やること:次の1回の更新を安全にする
- 更新前バックアップ(DB+ファイル)を1回取り、手元にも保存
- 戻し方を1行メモ(「管理画面のバックアップから復元」「plugins フォルダ名を変更で無効化」など)
- 更新は1つだけやってみる。押したらトップと主要ページ、管理画面を確認
- 決済・フォーム系は今日は触らず、余裕のある時間帯に単独で
- 何を更新したか1行だけ記録に残す
小さな一歩で、「こわい更新」が「戻せる更新」に変わります。
「WordPress更新を壊さない」チェックリスト
- 更新前(P0)
- DB+ファイルのバックアップを取った(手元にも保存)
- 戻し方を1行メモした(復元手順/プラグイン無効化の方法)
- できれば検証環境で先に試した
- 更新中
- 一度に全部でなく、1つずつ更新している
- 1つ更新するたびに、トップ・主要ページ・管理画面を確認
- 決済・フォーム・会員など重要機能は単独・低アクセス時間に
- フォーム系は更新後にテスト送信で確認
- 運用の仕組み
- 更新のタイミング(例:月1回)を決めている
- 自動更新/手動更新をプラグインごとに決めている
- 使っていないプラグイン・テーマを削除した
- いつ・何を・どのバージョンに更新したか記録している
- もしもの時
- おかしければ止めて戻す判断ができる(直前の1つを停止/バックアップ復元)
全部に○でなくてOK。P0を回すだけで、真っ白な画面に出会う確率はぐっと下がります。
影響:仕組みにすると、何が変わるか
- 「押したら壊れるかも」という緊張が、「壊れても戻せる」という安心に変わる
- 溜まった更新を、こわがらずに少しずつ消化できるようになる
- 壊れたときも、原因の見当がつき、戻し方が分かっているので慌てない
- セキュリティ更新を後回しにしなくなり、放置リスクが下がる

更新がこわいのは、あなたが臆病だからではありません。これまで「戻せる準備」と「試す場所」がなかっただけです。その2つを置けば、更新は淡々と片づく作業に変わります。今日は、次の1回の更新のために、バックアップを1つ取るところから。小さな備えが、明日の安心につながります。
よければ、こちらも
更新は「変更を本番に反映する」作業の一つです。戻せる設計や、反映前の確認、影響範囲の見方も合わせて整えておくと、更新に限らずいろいろな作業が落ち着いてできるようになります。
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